帰りの電車に乗っていたら、人がこっちに寄ってくる。
何かにおびえている前の女性。
何かと思ったら、怒っている声が聞こえる。
僕は席の一番端に座っていたので、そことはけっこう距離が近かったです。
そっちを見たら、その男の顔も目撃できました。
「どんな生き物なんだよ!」みたいなことをその男は言っていました。
その男が誰に何をされたのかまったく分からない。
ほんとうああいった時って怖いですよね。
逃げるに逃げられないし、自分にも襲い掛かってきそう。
しかも、電車の中って監視の目がない無法地帯です。
その時は、1人の女性が男を止めていました。
ずっと彼女か知り合いだと思ってたけど、違った。
すごい勇気のある人だと思った。
僕なんてただただ座っている事しかできませんでした。
あと、男の袖のところをこう言ったら悪いけど、弱そうな男がつかんでました。
あれも知らない人だったんだろうな。
自分があの位置にいたとしたら、同じことはできたのだろうか?
たぶん、できていないとは思います。
どうにか駅について、真っ先に降りた人が非常停止ボタンを押して、そのままどこかに行ったみたいです。
これは勉強になりましたね。
怖い人がいたら、降りて停止ボタンを押してしまう。
痴漢されたら同じことをすればいい。
犯人の手を無理やり引っ張って降ろそうとしても、きっと突き飛ばされて、電車が発車してしまう。
地下鉄のホームには、非常停止ボタンがあるんですね。
それを押せば電車が止まるから、とりあえず止めればいい。
そうすれば、今回みたいにケンカしている人は外に出されて、何もなかったかの様に電車は発射します。
ほんとうなかったことの様になって、みんなそれぞれ何かを思っているけど、赤の他人とそれについて話すわけでもない、終電間際の電車の中でした。
ああいった時って、不思議な空気が流れているなとは思いました。
赤の他人のケンカを止めている人もいる。傍観している人もいる。気づかない人もいる。いろんな人が電車に乗っている。当たり前のことだけど、不思議さを感じた一瞬でした。
ケンカした男の人はどうなったんだろう?
たぶん、怒っていた男性が一方的に悪かった感じはします。
目がむき出しになりながら、吠えていて、ほんとう怖かった。
と同時に、みっともない姿って思った。
あんな風に周りの目を気にしないで、ケンカできてしまう精神は理解できません。
僕は怒りよりも恥ずかしさが湧いてきて、電車の中でケンカなんてできないな。
あんな風に怒れて、周りの人を恐れさせて、電車を止めてみんなの時間を奪う様な人は嫌ですね。絶対に友達になれない。というか、あちらも僕に興味がないだろう。
そういった人は周りにいない世界で生きることができていてよかったです。